cluster文学賞?

「本を買って読む」本好き、読書好きにとって、このシンプルな行為は普遍的な楽しみを伴うものだと思います。しかしながら近所の馴染みの書店が次々になくなり、必然的にインターネット上でのレビューやオススメ、選書サービスを頼りにせざるを得ない現在。最早「実店舗」で購入することの方が「非日常」に、今は新しい本との「偶然の出会い」に関してはリアルワールドの方が圧倒的に不足し始めていると思われます。

 

「cluster文学賞」は、そうした社会問題とも言える現状に対し「出版社」や「書店」といった供給側の立場からではなく、1つの提案としてメタバースで開催されている「cluster読書会」有志が中心になって毎年1回。ジャンルや発刊年に制約を一切設けず「推し本」を選考会で決定、発表している「メタバース発の文学賞」です。 

 

その事で本好き、読書好きの人にとってはメタバースでの本との「偶然の出会い」を提供すると共に、読書文化を盛り上げているメタバースの本好き、読書好きたちの「認知度向上」や「交流機会」実現を目指しています。


具体的には?

具体的には、毎年1回「メタバース、clusterに住んでいる方々である」を条件に「一推し本エントリー」から「今年一押しの本を自由にオススメしていただきます」その後「cluster読書会」での選考会を経て、メタバース、clusterはもちろん、WEBサイト、リアルワールドでも結果を発表させていただきます。


・10月1日〜11月末 オススメ本エントリー(推し期間)

 

・12月22日(結果発表日)

「cluster読書会」での投票にて結果を発表


かって『火星』と呼ばれた惑星が”地球化改造”されてから150年後を描いた、天野こずえさん作の漫画です。

ヴェネチアをベースにつくられた港町で、主人公の水無灯里が様々な『不思議』と『素敵』を体験していく物語。

美しい絵と世界観に引き込まれます。(clusterのワールド散策にも似ているかも?)

何かと忙しない日々に、まったりゆったり、幸せの達人の日常を体験してみませんか?

通行人A



"未来のために現在を犠牲に捧げ、過去を忘却していくのではなく、むしろ過去から回帰してきた未来を現在の只中に埋め込まなければならないのではないか"

 

2023年発刊の本書は新ユーラシア主義からアフロフューチャリズム、サイバースペース/メタバースまでを繋ぎ横断する黎明のユートピア論。

 

帝政ロシアからメタバースが結ぶつくのか。という知的刺激。そして作中では、ル・グィンの『後ずさりして、向きを変えて、もとに戻る』を対比しているかのように引用しているのですが。現代社会に閉塞感や危うさを覚えている私にとっても響く言葉でした。

スナ



"ミリーみたいに変身したい 小さな頃からひきずったままこじれた憧れは いつのまにか自分を変えるためのきっかけと思うようになっていた"2019年発刊の本書はAR×サバゲー×全力青春。

 

本書は小さな頃に夢中になった魔法少女アニメに憧れて、現実社会でも身体に映像を直接投影することで【生身のまま、なりたい姿になれる】AR/MSというサバイバルゲームの世界に高校デビューすることになった日向向日葵(ひむかい ひまわり)が、クセの強い仲間に囲まれつつサバゲーもとい『部活動』に夢中になっていくのですが。

 

メタバース、仮想空間と違って。本書はあくまでAR、拡張現実をテーマにした作品なんですが。【なりたい姿になれる】のは一緒なので。そのワクワクに共感を強く覚えました。

スナ



"日本に生きる人が建前に依存しすぎることで心を病んでしまうのではないかと危惧している。特定の慣習が人間の普遍的な欲求を押し殺していることに気づいてほしい、そこから抜け出してほしいという願いもある"2023年発刊の本書は多くの日本人と向き合ってきたイタリア人精神科医による日本社会論。

 

本書は『遠慮』『建前』『気づかい』などをはじめとした日本社会独特のコミュニケーションの特徴やその背景ある考え方について。自分のアイデンティティを【社会的構成論的に外から役割を与えられて】演じる『日本社会の精神』支配的なコミュニケーションのスタイル(キャラ設定、スクールカースト等)を可視化、その症状が【どのように心と身体を蝕むのか】どうすれば緩和できるか。について考えているのですが。

 

メタバースで何者にもなれるはずの自由が実は「外部から与えられている人の場合」かなりのストレスを抱えているのではないか。と思って読んでました。

スナ



"わたしたちはみんなひとつの生命体だ。『独立声明』は震動する揺めきで、ドラムとギターとベースがともに音を響かせる壁。その音は躍動し、形を成して、息づいていた"2019年発刊の本書は感染症とテロによりリアルライブが禁じられた近未来を描くSF小説、ネビュラ賞受賞作。

 

本書は自身もアルバムをリリースしているシンガーソングライターにして、様々な文学賞を受賞している著者による長編小説で。音楽を当たり前に生で聴ける時代"前時代(ビフォー)"を生き、ヒット曲を出した伝説のアーティスト、ルース。そして感染症と爆破テロの影響で、音楽ライブを含む全てが仮想空間で行われるのが当然の時代"後時代(アフター)"に育ったローズマリー。二人の主人公の物語なのですが。

 

音楽小説としても著者自身のプロフィールが存分に発揮されて楽しめますが、個人的にリアル""のライブ、そして仮想世界"メタバース"のライブ。その"どちらの魅力も知っている"一人として、考えさせられる部分もありました。

スナ



"『現実化する前に(あるいは現実化するのと同時に)』変化に対して備えなければならない。そこで必要とされるのが、SFなのだ。"2023年発刊の本書は書評ブログ『基本読書』主宰者による古典から現代まで。56作品を最新キーワード分類『SF沼』必読のガイドブック。

 

本書は"これから何が起こるのか』を知るための教養"をサブタイトルに、3部構成にて『仮想世界・メタバース』『人工知能・ロボット』『不死・医療』『生物工学』『宇宙開発』『軌道エレベーター』『地震・火山噴火』『感染症』『気候変動』『戦争』『宇宙災害』『管理社会・未来の政治』『ジェンダー』『マインド・アップロード』『時間』『ファーストコンタクト』『地球外生命・宇宙生物学』と【現実と地続きで】各作品の紹介、魅力を紹介してくれているわけですが。

どちらかといえば【古典SF作品の紹介が多く】その辺りが大好物の私にとっても嬉しかったのですが、自分にとってはSF、そしてメタバースも「現実世界からの逃避」ではなく、より良くしていくためのヒントを求めてという部分もあり、こうした紹介仕方自体が嬉しかった。

スナ



オススメ本エントリー

メモ: * は入力必須項目です