「cluster文学賞」第1回大賞は伊藤計劃著「ハーモニー」に決定!←NEW



第1回「CLUSTER文学賞」スケジュール

・〜10月28日(企画検討期間)

「cluster読書会」内で意見交換

 

・11月1日〜(推し期間)

メタバース、clusterに住んでいる方からの一推し本を募集

 

・12月9日(結果発表日)

「cluster読書会」での住民投票にて結果を発表


今年の一冊を選べ、と言われたら間違いなくこの本。

今年になって注目すべきメタバース関係の本が何冊か出版されており、そんなタイミングであったから「そろそろメタバースについて勉強しておくか」程度の気持ちで買い漁って読んでみたのだが、その、世界に対する妙に確信めいた期待や希望はどうしたって過剰にユートピアを求めるものに見える。

どれとは言わないが何冊か手にとって感じたのは、こういったメッセージだ。

 

みんな、肉体を棄ててメタバースを生きよう!

 

どうにも連想してしまうのは、伊藤計劃の『ハーモニー』の中に登場する医療に支配されたユートピア的世界だ。

これは肉体と精神の健常さを保証された理想の世界を生きながら、どうしてもその価値観に馴染めず、はみ出さずにはいられなかった人たちの視点を追いながら展開するSF小説である。

肉体を棄てることも、完全な肉体を持つことも、どっちもどっちに歪んでいてひどく人間臭く、だからこそ美しいとも言える。

その美しくも歪んだ価値観を重ねつつ、物語にメタバースの未来を垣間見るのも面白いんじゃないだろうか、と個人的には思う。

meh(めー)



最近最終巻が発売されたラノベ作品。

主人公が二つの人格を持った女の子を好きになるところから物語が始まるのだが、物語が進んでいくにつれ女の子が二重人格になった理由、主人公はその女の子のどちらの人格が好きなのかなどといった様々な問題とぶつかる。

その問題を乗り越えて距離が縮まっていくのがとても感動でき、どんどん続きが気になり読み進めてしまう。

りるとん



本書は2017年から美少女アイドルとしてVR界はもちろん、歌手に作家と活動している自称・世界最古の個人系VTuber"バーチャル美少女ねむ"が旧Facebook、現Metaによって広く知られることになったメタバースについて。幅広い読者を対象に【前半は由来や歴史、定義などメタバースの基本的な解説】を。そして後半は1200人の世界中の原住民にヒアリングした『ソーシャルVR国勢調査』や自身の体験をもとに【メタバースの生活実態や文化、未来の可能性を解説】してくれているのですが。

 

NFT・ブロックチェーンとタグ付けされて"短期的な投機バブル"だったり"流行りのITバズワード"的なビジネス記事も目立つ中、著者が平野啓一郎の『分人主義』を持ち出したり、ユヴァル・ノア・ハラリの『ホモ・デウス』もとい『ホモ・メタバース』を提唱して語る後半の【メタバースの未来や可能性】は原住民としての愛情や熱量がテキストから存分に伝わってきて【心を打たれ、しびれるような読後感】でした。

スナ



全霊で書きました! 自分で言うのもなんですが、住人の息遣いが聞こえるような、最もリアリティのあるメタバース解説書だと思っています!

バーチャル美少女ねむ



映画ロード・オブ・ザ・リングの原作

今どきの文庫小説と違い淡々と進んでいく物語かつ、冒頭(旅の仲間上巻)までは世界観説明的な内容で、この時点で脱落する方も多いので、ここは最初は読み飛ばしてもOKです

 

欲望の権化である「一つの指輪」、それは様々なものの手に渡り、主人公フロドの手に渡り、それを破壊するために仲間とともに旅立つお話です

様々な信念、善悪、欲望の概念が指輪の魔力により蝕まれる描写、圧倒的規模の戦争描写、旅の苦難などが淡々と、しかし確実に描かれていきます

読み解いていくうちにこの苦難の旅の一行の中に、自分が存在しているような錯覚すら感じるようになります

 

文章量、情報量が多く、古典的でもあるので読みにくい部分もありますが、自分のペースで少しずつ読んでいくことをお勧めします

読み終わったときに、多くの古典的名作RPGがこの作品の影響を色濃く受けていたことに気付かされる、それだけ完成度の高い名作です

ゆる★もり



アメリカSF短編小説ベスト10に常連入りする「ブルーシャンペン」収録。

 

センスオブワンダーを刺激する短編集。

 

「バ-ビー人形はなぜ殺される?」では全ての人間を無性体かつ同じ外見にした街で殺人事件が起こる。その為に目撃者がたくさんいるにも関わらず犯人を特定できないという、メタバースにも通じるアバター的なエッセンスが散りばめられています。

 

「残像」は三重苦(盲目、聾唖、発声不可)の人間達が集まって、街を作ったらどうなる?という観点から人間社会のコミュニケーションについて考えさせられる作品となっています。

いかに自分達の常識が常識ではないのか深い知見と洞察力によって構成された展開は見事です。

 

「ブルーシャンペン」は事故で手足の自由を失った女性が、自分自身を広告にしてサイボーク手術を受けて自由を手にしていく話。ラブゲームを絡めた終盤の展開は寂寥感もありながら、実に美しい言葉と構成になっていて、何度読んでも素晴らしいです。

 

障害や個性をITや手術で、取り除いたらどうなるのか?という話が多いので推させて頂きました。

シュン



「銀河鉄道の夜」などで知られる宮沢賢治の詩集。

 

「わたくしといふ現象は、仮定された有機交流電燈の、ひとつの青い照明です(あらゆる透明な幽霊の複合体)」

 

「序」冒頭は、メタバースにおける「わたくし(個)」のあり方、を予見したかのような名文である。

マヨイガ



ショート・ショートの第一人者である、星新一の自選短編集です。

 

凍った湖から一つの壺を釣り上げた男の話に始まり、バーに置かれた人造美人、何を入れても埋まらない不思議な穴、そして人口増加の末の世界まで、50ものお話が収録されています。

もしかしたら、この中のいくつかは、学校の教科書で読んだ方もいるのではないでしょうか。

「ショート・ショート」の名の通り一遍一遍が短くて読みやすいのに、考えさせられる内容のものばかりです。何度も読み返したくなる一冊です。

通行人A



遊廓に興味があり、それを舞台とする小説を幾つか読んだ中で、圧倒的に面白いと感じた作品。

とある事件について、関係者からの証言をかわるがわるに書き綴りながら、その真相に徐々に近づいていくというお話です。

終始一貫して台詞しかないという独特な構成にも関わらず、まるでその場に居合わせたかのような引き込まれ方をしました。

著者はこの作品で直木賞を受賞しているが、他の直木賞を受賞作品も読んでみたいと思うきっかけとなりました。

チャーリー



星 新一さんの『妖精配給会社』

1964年発行の短編小説。

たまたま古本市で手に取った本だったのですが、少し読んだだけで面白さにはまってしまい

全ての話がどこか今に通づる所があるような、皮肉めいたりブラックユーモアが満載のお話しです。

特に好きな話が『福の神』

働く事やお金をを稼ぐ事の意味とは?

何かに翻弄されて仕事に人生を奪われてるんじゃないか?とか読んでて考させられたり。

 

『妖精配給会社』

これって今いるこの世界(メタバース内)にもどこか似てる話しじゃないか?

と思ったり。

心地よい世界に見えて、自分をしっかり持ってないと飲み込まれしまいそうな、でもみんなそれが当たり前になると疑問も無くなり気が付いた時には

みたいな感じのお話しが沢山読めます!

短編集だから、どの話しからでみヨメルのでおすすめです!

Jパパ